子どものスクリーンタイムと、家族の会話
同じ部屋にいるのに、会話が少ない。
画面に向かう時間と、親子のふれあいを考える
動画やゲームが身近になった今、見直したいのは「何時間見ているか」だけではありません。国内の調査と海外の研究を手がかりに、画面の外で向き合う時間と、家庭でできる工夫を考えます。
夕食の支度をしている間に、少しだけ動画を見てもらう。家事や仕事で手が離せないとき、スマートフォンやタブレットに助けられることはあるでしょう。ところが、気づけば次の動画が始まり、声をかけても返事が短くなる。そんな日常から、家族の時間を考えてみませんか。
01 日本の調査に見える、親子の時間の変化
シチズン時計が2025年に公表した「親子のふれあい時間」調査では、全国の小学生の子どもを持つ共働き夫婦400組に、家庭での過ごし方を尋ねています。2012年の同様の調査との比較では、休日の親子の会話時間が、父親で23分、母親で24分短くなったと報告されました。 [1]
同じ調査で、子どもの家庭でのスマートフォン・タブレット利用時間は、平日平均1時間59分でした。これは今回の対象家庭についての数値であり、日本の子ども全員の実態を示すものではありません。 [2]
会話が減る背景は、端末だけでは説明できません。家族の働き方、生活時間、子どもの成長なども関わります。この調査も、画面を見ることが会話時間の減少を引き起こしたと証明しているわけではありません。それでも、「一緒にいる時間」と「言葉を交わす時間」は同じではない、と考える手がかりになります。
02 気になるのは、画面を見る間に減る「やりとり」
2024年に発表されたオーストラリアの研究では、220家庭を追跡し、子どもが12〜36か月の時期に、画面への接触と家庭での言葉のやりとりを調べました。研究機関の発表によると、画面に接する時間が長いほど、大人の発話、子どもの発声、親子の会話の往復が少ないという関連が見られました。 [3]
この研究は乳幼児期の言語環境を調べたもので、小学生の調査とは対象年齢も方法も異なります。また、画面を見るだけで必ず言葉の発達が遅れる、という結論ではありません。研究結果と、個々の子どもの発達を同じものとして扱わないことが大切です。
注目したいのは、画面の内容だけでなく、その間に周囲の人と何をしているかです。子どもが何かを見つけて指をさす。大人がそれに応える。もう一度、子どもが話す。家庭の中で起こるこうした小さなやりとりを、どこに残せるか。その視点から生活を見直すことができます。
03 「静かに見ている」と「人と関わっている」は、別の時間
子どもが静かに画面を見ていると、大人は家事を進めやすくなります。その時間が必要な日もあるでしょう。ただ、静かにしている間に、きょうだいと順番を決めたり、相手の表情を見て話したりする機会まで得られているとは限りません。
「自分が話したことに、誰かが返してくれる」「できたところを見てもらえる」「友だちの番を待つ」。対面の遊びには、相手の反応に合わせて行動する場面があります。画面を使う時間と、こうした時間の両方が、日々の中にあるかを見てみましょう。
もちろん、動画を親子で一緒に見て、感想を話すこともできます。研究機関も、一緒に視聴して会話することを家庭での工夫として紹介しています。端末を使うかどうかだけでなく、誰と、どんな関わり方をしているかも重要な視点です。 [3]
04 画面の時間だけでなく、遊びと睡眠も含めて考える
WHOは2019年、5歳未満の子どもの身体活動、座って過ごす行動、睡眠についてガイドラインを公表しました。3〜4歳では、座ったまま画面を見る時間は1日1時間以内とし、少ないほどよいとしています。 [4]
これは3〜4歳に関する目安であり、小学生を含む全年齢に同じ上限を当てはめるものではありません。また、画面の時間を減らすだけで一日の過ごし方が整うわけでもありません。外で体を動かす時間、十分に眠る時間、家族と落ち着いて過ごす時間も合わせて考える必要があります。
WHOは、画面の前で座って過ごす時間を活動的な遊びに置き換えることや、画面を使わない時間に読み聞かせ、物語、歌、パズルなどを楽しむことにも触れています。大切なのは、空いた時間を何で満たすかという視点です。 [4]
05 「もうやめて」だけでは、次の楽しみが見えにくい
大人には夕食やお風呂の時間が見えていても、子どもは目の前の動画の続きを楽しみにしているかもしれません。突然終わりを告げるより、見る前に終わるタイミングを話しておくと、家庭での約束を共有しやすくなります。
たとえば、「これが終わったら、ごはんの前に一緒に遊ぼう」と、終わったあとの予定も伝える。次の行動が具体的だと、親子で同じ予定を確認できます。これはすべての子どもに同じ効果が出る方法ではありませんが、家庭で試せる工夫のひとつです。
忙しい日は、長い遊び時間を用意できないこともあります。毎日完璧に続けることを目標にするより、夕食後のひとときや休日の午後など、家族の生活に合う場面から始めてみてはいかがでしょうか。
06 大人も参加できる遊びが、会話の入口になる
「遊んでいてね」と渡すだけでなく、大人も一度参加してみる。子どもがどこで迷い、どこを楽しんでいるかが見えると、声をかけるきっかけになります。勝ったかどうかだけではなく、「さっきより長く続いたね」「今のところ、難しかったね」と、その場の出来事を共有できます。
絵本、積み木、カード遊び、簡単なゲーム。特別な道具でなくても、一緒に見るものや挑戦することがあると、会話の話題をつくれます。年齢や興味に合っていて、準備や片づけが負担になりにくいものなら、日常にも取り入れやすいでしょう。
きょうだいや友だちと遊ぶときも、最初から競争を強くしすぎる必要はありません。順番に試す、相手を応援する、できたことを一緒に喜ぶ。そのような楽しみ方も、家族で過ごす時間の選択肢になります。
07 画面の外の遊びとして、ミッケ・メモリータッチを紹介
家族で楽しめる遊びの選択肢のひとつが、「ミッケ・メモリータッチ」です。光る色の順番を覚えてボタンを押す、光と音を使ったゲームです。
スマートフォンの動画を眺める時間とは違い、自分で手を動かして挑戦する遊び。一人で試したあと、家族と交代したり、友だちの挑戦を見守ったりと、その場にいる人と楽しみ方を考えられます。
大人が一緒に挑戦すると、子どもが応援する側になることもあります。「次はお父さん」「今度はおばあちゃん」と順番を決めれば、同じ遊びを囲む時間に。大人が間違えて笑ったり、子どもの成功をみんなで喜んだりする場面も、楽しみのひとつです。
本商品は、上記の研究や調査で評価されたものではありません。発達への効果や、スクリーンタイムの減少を保証するものではなく、家庭での遊びの選択肢として紹介しています。
08 家族の生活に合わせた、無理のない取り入れ方
最初は短い時間から、子どもの様子を見ながら遊んでみましょう。大人も参加し、「もう一回やってみる?」と声をかける。子どもが乗り気でない日は、別の遊びを選んでも構いません。
友だちが集まる日には順番に挑戦し、祖父母と過ごす日には一緒にボタンの色を確認する。勝敗だけを中心にせず、その子が楽しめるペースで進めることもできます。遊び終わったあとに「どこが楽しかった?」と聞くのも、会話のきっかけになります。
おもちゃで遊ぶ時間と、体を動かす時間は、それぞれ違う楽しみがあります。外遊び、読み聞かせ、食事中の会話などと組み合わせ、ひとつの遊びだけに偏らない過ごし方を考えてみましょう。
09 家族で向き合う時間を、ひとつ増やすために
画面を使う生活が当たり前になったからこそ、ときどき「今日はどんな話をしただろう」と振り返ってみる。同じ部屋にいる時間の中に、目を合わせて話す場面や、一緒に笑う場面があるかを見てみましょう。
大きく生活を変えるのが難しければ、まずは一緒に楽しめる遊びをひとつ用意することから。画面を閉じたあとにも楽しみがある。その小さな選択肢が、家族で過ごす時間の入口になるかもしれません。
参考資料
- シチズン時計「親子のふれあい時間」調査概要(2025年6月10日) / 親子の会話時間
- 同調査:子どものスマホ・タブレットの利用
- The Kids Research Institute Australia: Screen time study reveals kids missing out on language development (2024年の研究紹介)
- WHO:To grow up healthy, children need to sit less and play more (2019年4月24日)
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